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カンブリア紀の腕足類

カンブリア紀に出現した腕足類は、当時から「リンギュラ亜門」「クラニア亜門」「リンコネラ亜門」
の3つの種類の存在がありました。(詳しくは「腕足類の分類」のコラムを参照。)

カンブリア紀にはリンギュラとクラニアが多かったようですが、
それ以降はリンコネラが優位を占めていたようです。

そのリンコネラに、まるで土から植物の芽がでてきた瞬間のような形のものがいます。
それが現在もオーストラリアと南極の海の水深約12〜600mに生息する「マゲラニア」です。
約3㎝の頑丈な肉茎で硬い底質に固着し、その肉茎は茎として働き、
腕足類を底質から持ち上げています。
化石として保存されることはほとんどないようです。

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腕足類の分類

腕足類は伝統的には2つの種類に分けられます。

2枚の殻が蝶番によって繋がっているのが有関節類(網)です。
蝶番がなく筋肉によって繋がっているのが無関節類(網)です。

オルドビス紀の腕足類

また3つの亜門にもわけられます。
亜門とは生物分類額上、必要な場合に門と網の間に設けられる単位です。
腕足類は「腕足動物門」に属すので、腕足動物門>○○○亜門>有関節網のように分類していきます。

腕足類は多くの種で外見が似ていてるのですが、内部構成が異なるため
このような分類単位が出来たようです。

3つの亜門の分類をくわしくみていきましょう。

1つめは「リンギュラ亜門」です。
腕足類で唯一食用とされているシャミセンガイがこれにあたります。
チキン質性のリン酸カルシウムの殻をもち、無関接網のほうに分類されます。

2つめは「クラニア亜門」です。
リンギュラ亜門と同じ無関接網に分類されますが、殻は炭酸カルシウムを主成分とします。
腕足類は海底に付着するための肉茎をもつのですが、クラニア亜門は肉茎がありません。

3つめは「リンコネラ亜門」です。
殻の主成分は炭酸カルシウムで、有関接網に分類されると考えられています。
スピリファーがこれにあたりますが、他にも様々な化石が見つかっています。

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ゾルンフォーフェン化石(その3)

サンゴ礁のラグーンに積み重なって出来たものが石版石炭岩です。
ドイツ語で板状石炭岩を意味する”Plattenkalk”と呼ばれていて、
この言葉にはこの層が横に連続するという意味も含まれています。

実際に石版石炭岩は周辺の町にも広がっているのです。
「白ジュラ」と呼ばれる層は、クリーム色をした石版石炭岩です。
その特徴は、板状に一枚一枚はがせることです。

ゾルンフォーフェンで発見されたアンモナイト

そのため、化石はレリーフ(浮き彫り)のようにクッキリと痕跡が残ります。
この特徴と特殊な環境によってとても素晴らしい化石が採掘されるのです。

また、ジュラ紀のラガシュテッテンには有名なホルツマーデン頁岩や
モリソン層があります。(※ホルツマーデン頁岩はドイツ南部、
モリソン層はアメリカのコロラド州を中心に広がっています。)

ゾルンフォーフェンにはこの二つの層にない特徴があります。
それが、陸と海の動植物といった全体の化石が発見されていることです。

ゾルンフォーフェンでは今日まで約600種以上の化石が発見されています。
最初は、建築材料として石炭岩を採掘している際にみつけた始祖鳥の発見でした。

始祖鳥ことアーケオプテリクス(Archaeopteryx)

本当はもっと前から化石の採掘がなされていたのかもしれません。
でも偶然の大きな発見が人々に夢と希望をあたえたのでしょう。
また抜群の保存状態の化石たちに採掘意欲がかきたてられるのでしょう。

始祖鳥以外にも、アンモナイトにトンボやエビなど
どれも立派で目を引く化石次々に発見されています。

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ゾルンフォーフェン化石(その2)

ラガシュテッテンとして世界有数の化石産地ゾルンフォーフェン。
どうやってこの素晴らしい場所はできたのでしょうか?

ゾルンフォーフェン産アンモナイト

ゾルンフォーフェンは中世代ジュラ紀後期(約1億5000年前)の地層になります。
当時この辺りはサンゴ礁に囲まれたラグーンがありました。
ラグーンとは、浅い海が広がり干潟がある地形をさしています。

ラグーンでは、とても細かな石炭質の粒子が静かに
ゆっくりと積み重なっていきます。
このラグーンの底は塩分濃度が高く酸素が少なかった為、
生物にとってはとても厳しい環境でした。

素晴らしい環境により保存されたアンモナイト

そのため、ここには塩分濃度が高い環境を好むシアノバクテリア以外が
生息することはできませんでした。(シアノバクテリアは生物進化の
歴史の中で初めて酸素発生型光合成を行った生物です。)

こうした環境のおかげで腐敗の原因となる細菌が少なくすみました。
そして、陸地にも近かったラグーンに、動植物が入っていき、
何億年とたって綺麗な化石として現れたのです。

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ゾルンフォーフェン化石(その1)

ラガシュテッテン(Fossil.Lagerstatten)という言葉を知っていますか?

日本語では「化石鉱脈」や「化石鉱床」といいます。
きわめて保存状態のよい化石が多く産出される場所をさした言葉です。

ドイツの南部に「ゾルンフォーフェン」という小さな町があります。
この町はラガシュテッテンとして特に有名で、化石好きな人で知らない人はいないほどです。
まず、この町が化石の産地として有名になったのが始祖鳥の化石の発見でした。

始祖鳥ことアーケオプテリクス

 1860年、ゾルンフォーフェンで世界最初の始祖鳥の化石が発見されました。
始祖鳥は現在発見されている鳥類の化石のなかで世界最古のものとして知られています。
この始祖鳥の化石は、これまで何度も発見されており、
なかには羽毛までついたほぼ完璧なものまでありました。

もともと「ゾルンフォーフェン石炭岩」とよばれる石炭岩は建築用石材でした。
良質の石炭岩は粒子が細かく硬いため昔から建築材料として使用されていたようです。
18世紀末、その特徴が石版印刷に最適であることが発見され「リトグラフ(石版画)」が開発されました。

今でも建築材料として使用されていて日本にも輸入されています。
家の庭に用いられたり、町のなかでみることもできます。
なかには化石の入ったものもあるそうなので皆さんも探してみてはいかがでしょうか?

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「生痕化石」を知っていますか?

生痕化石とは、生物そのものではなく化石になった生物の生活や活動の痕跡です。
生物体の化石は、そこにその生物がいた証拠とはいい難いのですが
(死んで運ばれる事もあるため)、生痕化石は確実にその生物が
その場所で活動していたという証拠となるのです。

恐竜の足跡も生痕化石です。

ただ現在はプレートの移動が知られているので生痕化石の発見場所が
過去にもその地点だったとは言いきることはできません。

代表的な生痕化石に、巣穴、足跡、這い痕、糞化石などがあります。

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カニについて

カニは十脚目短尾下目(別名:カニ下目)に属する甲殻類の総称です。
漁業や流通などの産業上、タラバガニなどの十脚目異尾下目
(別名:ヤドカリ下目)も「カニ」として呼ばれることがあります。

カニは全世界に約5000種類以上、日本近海に約1000種類以上が生息するといわれています。
皆さん、カニはみな横歩きをすると思っていませんか?

実は他の歩き方をするカニがいるのです!

例えば、東南アジア熱帯域に生息する小型のミナミコメツキガニやケガニなどは前に歩きます。
アサヒガニ科、カラッパ科のカニは後ろに歩きます。
また、潮干狩りでお馴染みのマメコブシガニは前にも後ろにも歩くのです。

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カニの漢字にご注目!

カニは漢字で「蟹」と表記します。
実はこの「蟹」という漢字はある人物の行動からきているのです。

約4000年前に巴解という男が中国の長江デルタ地域の工事を行うことになりました。
工事が始まり夜火を焚くと「夾人虫」という虫が集まってきて、工事にきてた作業員を襲い殺してしまいました。

困ってしまった巴解は、堀を巡らせた城を築き堀に湯を入れた上でまた夜火を焚きました。
すると思惑とおりに夾人虫がやってきて次々に湯の入った堀に落ちていったのです。
そして堀に湯をどんどん入れ夾人虫の退治に成功しました。

気づくと赤い色に変化した夾人虫はからはいい香りが・・・。
巴解が仲間と一緒にこれを手にとって食べるととても美味しかったようです。

こうして夾人虫を退治した巴解は勇敢な男と崇められ、
夾人虫は巴解の足元にいる虫という意味で「蟹」とよばれるようになりました。

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エビの歩き方

エビはチキン質の殻におおわれた節足動物の十脚甲殻類です。(キチン質とは人の消化酵素では
消化されない植物繊維の一種で、体内の有害物質を外へ排泄する働きがあります。)

エビは、桜エビのように泳ぐエビ(遊泳類)と、伊勢エビのように歩くエビ(歩行類)に分けられます。
一般に漢字では遊泳類のエビに「蝦」が、歩行類のエビに「海老」の字が使われています。
またエビの色が葡萄の色に似ていることから、「葡萄」を「エビ」とも呼びます。

突然ですが『メゾンクリーク』という言葉を聞いたことがありますか?
メゾンクリークというのは、古生代の石炭紀後期(約3億年前)に形成された層で、
アメリカイリノイ州にある化石産地です。

ここでは多種多様な甲殻類がみつかっていて、そエビ型の体形のものが多く見つかっています。
2011年、メゾンクリークのあるイリノイ州から約1000kmほど離れたオクラホマ州で新たな化石が発見されました。
その化石は、約3億6000万年前の長さ8㎝ほどの最古のエビ類の化石でした。

最古のエビ類の化石は発見者の名前などから「アキクロポーダ・マペシ」と名付けられました。
この化石は、とても保存状態のいい形でみつかったそうです。
なぜ保存状態がよかったのでしょう?

それは、死後すぐに、酸性で酸素の少ない海底に埋もれたからと考えられています。
酸素が少ないと、細菌が生きられないため、生物自体の腐敗が進みにくく、結果良い保存状態の化石となるのです。

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絶滅をまぬがれやすい生き物の特徴は?

生きとし生けるものはどの時代も生存競争をして、食べ物や住むところを確保し、
子どもを増やして進化を続けようとするものです。
それでも、地球をおそった5回の大量絶滅をまぬがれなかった生物がたくさんいます。

それでは、絶滅の危機にさらされたとき、
どんな生物が生き残りやすいのでしょうか?
それは、主に3つあります。

世界中の海で広く繁栄したアンモナイト

1つ目は、生息範囲が広いということです。
ある地域が壊滅的な状況に陥っても、生息範囲が広い生き物なら、
別の地域で生き残れる可能性があります。

2つ目は、省エネルギー性の生き物です。
食べる量がすくなかったり、生きていくのに必要なエネルギーが少ないほど、
食べ物がないといった危機にさらされても生き延びる確率が高まります。

3つ目は、同種の個体数が多いということです。
たくさんの死者がでたとしても、同じ種類の仲間が
多く生息していれば、絶滅しにくいのです。