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地上最大生物なるか!?その名はドレッドノータス

恐竜は絶滅した生物ですが、その研究結果は日々進化しています。2014年9月4日にネイチャーで発表されたのは、巨大草食恐竜「ドレッドノータス(Dreadnoughtus)」。こちら、恐竜が地上を歩いた生物の中で最大種なのではないか、との意見が出ています。

竜脚類画像

ドレッドノータスは、南米アルゼンチンのパタゴニア南部7700万年前の地層で発見されました。白亜紀の超ド級サイズの草食恐竜で、見つかった骨格から分析するに、鼻から尾までは26メートル、体重は何と60トンから65トンにも及ぶとされます。

今回は、割合多くの骨化石が見つかっており、この数字、精度がかなり高いそうなのです。60トンの巨体は、恐竜キングティラノサウルスの7頭分にもあたるとされます。ドレッドノータスの名前の由来は「怖いもの知らず」という意味です。歩くだけで地面が揺れ、地割れがしそうですね。

竜脚類画像

ところで、この見つかった化石は、まだまだ成長途中であったようで、最大サイズは何と体長が40メートルを超えるのではないかという意見がでています。40メートルともなると、もう生き物というか建物、あまりに大きすぎて想像しにくいですね。

観光用の特大バスを3台並べてもその大きさには到達しません。小学生や中学生の頃、50メートル走でタイムを測ったことがある方なら、あの走った分がすべて1頭の恐竜分と思っていただければよいでしょう。とてつもなく大きな生き物ですが、ここまで大きいと、それを維持するための食べ物(植物)が気になります。

一体、一日にどれくらい食せばこの巨体を保つことができるのでしょう。現代にくらべ、当時の植物の豊かさが相当なものであったことは知られています。とはいえ、こんな巨大な生き物がたくさんいたなら、数日で森が1個なくなっていたりして??

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恐竜の分類からみたテリジノサウルスの不思議②

②分類されにくい恐竜

テリジノサウルスに謎が多いのは、爪や食性だけではありません。分類においてもそうです。

テリジノサウルスの体型は、長い首と腕、そして異様な長さの爪、太い胴体に特徴づけられます。分類は『竜盤(りゅうばん)目』に属しています。あの恐竜キング、ティラノサウルスと体格は似ているといったら言い過ぎでしょうか。テリジノサウルスは分類上、竜盤類です。しかし、体の一部は鳥盤類に似た特徴をもっているという、不思議な生き物です。

ティラノサウルス(化石セブンオリジナルCG)
ティラノサウルス(化石セブンオリジナルCG)

さて、恐竜の分類については、大きく分けて鳥盤類(ちょうばんるい)と竜盤類(りゅうばんるい)があります。鳥盤類で代表的なのは、ステゴサウルス、トリケラトプスなど。竜盤類で代表的なのは、ブラキオサウルス、ティラノサウルスなど。前者は植物食で、後者は植物食と肉食両方存在します。

ケントロサウルスも鳥盤類
ケントロサウルスも鳥盤類

鳥盤類と竜盤類という分類は、『盤』という言葉からも想像できるように、恐竜の骨盤の形によってカテゴライズしたものです。鳥盤類は、骨盤のつくりが鳥の形に似ていることから名づけられています。そして、竜盤類は、骨盤のつくりがワニやトカゲに似ていることから名づけられています。

竜盤類はワニに骨盤のつくりが似ている。
竜盤類はワニに骨盤のつくりが似ている。

骨盤を形成する、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ)、恥骨(ちこつ)のうち、恥骨が後ろに伸びて向いているのが鳥盤類、恥骨が前に伸びて向いているのが竜盤類です。

鳥盤類の場合、草食性の恐竜ばかりですので、恥骨が後ろ側(しっぽ側)にむいているほうが都合がいいようです。というのも植物食の場合、大量の植物を消化したいので、長い腸が必要です。恥骨がお腹側にないことで、長い腸を無理なく収められたのではないか、というのです。

さて、テリジノサウルスは、竜盤類であるので、通常なら恥骨が前に向くはずにもかかわらず、後ろを向いていて、この部分においては鳥盤類の特徴をもっています。

さらに、骨に温血動物がもつ特有の構造をもっているなど、鳥類や哺乳類に近い性質もあるようで、謎はますます深まるばかりです。

見た目も不思議、体のつくりも不思議、食性も不思議。これだけインパクトのある恐竜もなかなか珍しいですね。モンゴルゴビ砂漠での巨大営巣地発見を機に、テリジノサウルス類のさらなる生態の解明が期待されます。

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恐竜の分類からみたテリジノサウルスの不思議①  

2013年11月3日、モンゴルゴビ砂漠で肉食恐竜の世界最大級の営巣地が発見されたというニュースが大きく報道されました。『営巣地(えいそうち)』という言葉、あまり聞きなれないですね。営巣地は、鳥が巣作りをする場所や区域をさす言葉です。

今回については、獣脚恐竜テリジノサウルス類のものと推測されています。この営巣地、驚きの大きさで、幅は22メートル、長さは52メートルというすごさです。この区域に巣は18カ所も見つかったようで、卵も3~8個もあったとのこと。

テリジノサウルスの体形の不思議とその魅力について、①と②にわけてお話ししたいと思います。

①はじめはカメに間違えられた!?

テリジノサウルスの種小名はcheloniformis というのですが、これは「カメのような姿の」と言う意味に由来します。はじめに発見された化石が、巨大なウミガメに似ていてカメのような姿に復元されたということです。恐竜化石がカメらしき姿に復元されたという逸話。これは、テリジノサウルスがもつ、異様で巨大なかぎづめがもたらしたものといえるでしょう。

まさかのカメに間違えられた!?
まさかのカメに間違えられた!?

テリジノサウルスは8~12mの全長に比較して、爪の長さが約70cmあります。腕の長さをいれるとおよそ2メートル。どう考えてもアンバランスな体型をしています。

はじめてテリジノサウルスのイラストを見たときは、そのユニークな体格に、驚かれた方も多いのでは。まだの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

この巨大なかぎ爪は、未だ用途ははっきりわかっていないようです。爪の役割について、今のところ考えられているのは①獲物を切り裂いたり、自らの身を守った ②木の根を掘ったり葉を切ったりした ③地中を掘り起こして昆虫を食べた などがあります。

テリジノサウルスが植物性か肉食性か、はたまた魚食性か、未だはっきりとは分かっていないようです。歯やアゴの化石からすると、草食恐竜の特徴を持っているので、植物を食べるのに適している形とのことですが、直接的な証拠は今のところないようです。

続きは②へ。

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時速80キロで走る恐竜とは?

恐竜はさまざまな種があり、特徴がありますが、みなさんの中で憧れの恐竜、人気の恐竜はどんな種でしょうか?体が異様に大きい、力が強い、見た目が派手・・・。いろんな観点から好きな恐竜は分かれるようです。

スピノサウルス、ティラノサウルス、ステゴサウルス、タルボサウルス、ブラキオサウルス、デイノニクス・・・。有名どころは他にもたくさん挙げられますが、意外に知られていない恐竜で、実はスゴい恐竜をご紹介します。

人気恐竜ティラノサウルスとスピノサウルス
人気恐竜ティラノサウルスとスピノサウルス

その名も、『オルニトミムス』。オルニトミムスは、最速恐竜として知られています。ダチョウに体格をしていて、ダチョウ恐竜とも言われています。学名の意味は『鳥(ornith)に似たもの(mimus)』。白亜紀の北アメリカ大陸に生息していました。

とにかく異様なほど長く細い足を有していて、尾も長い。全速力で走ったときの時速は、60-80キロにも達したという研究者もいます。

オルニトミムス
オルニトミムス

よく考えたら、すごい速度です。現代の高速道路を、彼らオルニトミムスが車と併走していても、何ら違和感がない、ということですね。

ちなみに現生動物で地上最速といわれているチーターは、最高速度は時速100キロ以上ともいわれています。ただ、最高速度を維持できる距離は400メートルくらいとのことで、まさに『瞬発系走り屋』といった感じ。

チーターは走り始めて2秒後に時速72キロまで加速できるそうですから、いずれにしてもこの生き物も化け物級であることは間違いありません。

一つ、面白いのは、チーターは大きくても体長140cm前後、体重65キロ前後なのに対し、オルニトミムスは体長3mあるということです。(体重は未定ですが、相当な重さでしょう・・・。)体が大きいのに足が速い。う~ん、ここがすごいと思いませんか。

好きな恐竜は?と聞かれて、『オルニトミムス』と答える人は、なかなかのツウかもしれません!?

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恐竜滅亡の理由として主力な説は?

恐竜がもし現代に生きていたら、その巨大さに圧倒されたことでしょう。

しかし、現在、恐竜は絶滅してしまっていて実物を見ることはできません。

恐竜滅亡の理由として、現在のところ有力な説は何かご存知でしょうか?

竜脚類恐竜 乗用車との比較
竜脚類恐竜 乗用車との比較

そうです、『巨大隕石の落下』説が最も有力です。

恐竜滅亡の原因は、昔からさまざまな説がありました。

  • 火山が噴火
  • 伝染病が流行った
  • 大洪水が起こった
  • 地殻変動で海退がすすみ、大陸棚が干上がって生態系のバランスが崩れた
  • 新たに出現した被子植物に、恐竜の害になる成分が入っていて、食中毒になった

・・・唱えられた説はまだまだあるようです。

白亜紀の小型肉食恐竜
白亜紀の小型肉食恐竜

この中で、現在最も支持する人が多いのは、白亜紀末に落下した巨大隕石によって滅亡した説です。

隕石落下が原因で、地球環境が激しく変化してしまい、恐竜が生きていく環境を確保できなくなったというのです。

今後研究によって、将来はこの説も改められるか、他の説が付加される可能性があるかもしれません。

ティラノサウルス骨格(化石セブンオリジンるCG)
ティラノサウルス骨格(化石セブンオリジンるCG)
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あたまの大きな恐竜と言えば?

突然ですが、クイズです。

頭の大きな恐竜と言えばどんな恐竜でしょうか?

正解の恐竜の頭の大きさは、およそ2メートル60cmくらいあります。

恐竜の全長は、約9mくらいです。

なんと1/3近くも頭が占めるではないか・・・。

オドロキの頭の大きさです。

体重は、およそ5トンから8.5トンくらい。

草食恐竜です。

そして、非常に人気が高く、世界的にも有名。

白亜紀の北アメリカ大陸に生息していました。

ここまでのヒントで、もしかするとわかった方がいるかもしれません。

正解は・・・。

『トリケラトプス』です。

骨戦争!マーシュが発表したトリケラトプス
骨戦争!マーシュが発表したトリケラトプス

トリケラトプスは、名前の通り3本の大きな角を有する角竜です。

鼻から1本、おでこあたりから2本の巨大な角が生えています。

彼らの頭部は異様に大きく、比較すれば軽自動車くらいはありました。

想像するだけで圧倒されますね。

トリケラトプスの本物角化石
トリケラトプスの本物角化石

トリケラトプスは、角以外にも立派なフリル(襟飾り)をもっていました。

ですから、頭部にかかる重量の負担はものすごく、その理由からか首回りの筋肉が異様に発達していたということです。

トリケラトプスのフリル(えり)部分
トリケラトプスのフリル(えり)部分

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極端に首が長い恐竜のはなし

体の半分以上を首が占める、極端に首の長い恐竜がいます。

みなさん、ご存知でしょうか?

その恐竜は、中国で発見されました。

発見された場所は、中国四川省の「馬門溪」というところ。体長は20~35mともいわれます。

その半分の長さが首だというのですから、ヘビもびっくりの長さです。さて、ジュラ紀後期の中国には、首の長い竜脚類が繁栄していたようです。

その恐竜の名前ですが、地名が名前となっているのです。

竜脚類恐竜 乗用車との比較
竜脚類恐竜 乗用車との比較

そう、「馬門溪」という地名です。これは、「マメンチ」とよむのです。

そう、『マメンチサウルス』が正解です。でも、この発音、日本独特らしく、ラテン語風に発音すると、『マメンキサウルス』になるとか。日本では、このマメンチサウルスに関連して、モシリュウが有名です。

モリリュウは、岩手県岩泉町武師(モシ)で発見された竜脚類化石なのですが、発見時は、マメンチサウルスの仲間だと考えられていました。

その後、発掘された地層の年代が異なること、属する科が違うことなどがわかり、仲間でないことがわかったのですが・・・。

アジア大陸も、恐竜化石の話題は尽きません。

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恐竜が繁栄した3つの時代 名前の由来

恐竜が繁栄した時代は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3つの時代です。

この3つの表現は、地質時代とよばれる時代区分の名前です。

(英語でGeologic time scaleやGeological ageといいます。)

ジュラ紀に繁栄した竜脚類恐竜
ジュラ紀に繁栄した竜脚類恐竜

地質時代は、地球と生命のこれまでの長い歴史を

地層に区切って表現した時代なんですね。
さて、恐竜の繁栄した時代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀ですが、

なぜこういった名前がついたかご存知でしょうか。

白亜紀の小型肉食恐竜
白亜紀の小型肉食恐竜

それぞれの地質時代には、名前の由来があります。

名前の由来は、以下の通りです。

 

三畳紀・・・三色の層(赤色の砂岩、白色の石灰岩、

茶色の砂岩)が重なっている地層から名づけられた。

南ドイツに地層に由来する。

 

ジュラ紀・・・ジュラ山脈に見つかった石灰岩層から名づけられた。

ジュラ山脈はフランスとスイスの間にある山脈。

 

白亜紀・・・フランスとイギリスにかかて、チョークとよばれる白い地層がある。

これが、「白亜」という意味で名づけられた理由。

背中のトゲが特徴スピノサウルス(Spinosaurus)
背中のトゲが特徴スピノサウルス(Spinosaurus)

この3つの地質年代、ヨーロッパを中心に名づけられていますね。

19世紀、化石発掘の大ブームが巻き起こったイギリスをはじめとする周辺国では、

地質学の発展も急速に進んだようです。

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〝鳥は恐竜から進化した” 始祖鳥と新種化石の発見

〝鳥は恐竜から進化した”

この根拠は、鳥類が恐竜と同じ体の構造を

たくさん持っていることから考えられています。

 

近年、鳥と恐竜の間の進化をつなぐ謎が話題になっています。

始祖鳥その注目は、始祖鳥に向けられています。

始祖鳥のレプリカ標本
始祖鳥のレプリカ標本

 

始祖鳥は、もっとも古い鳥だとされ

体の構造が鳥にも恐竜にも似ている生物として考えられていました。

 

始祖鳥は、後ろ肢が鳥の特徴とは異なり、

肉食恐竜のそれと似ていることなどから近年では、

鳥ではなく、肉食恐竜なのではないかといった説を唱える研究者もいます。

 

これを踏まえ、鳥の祖先とされる始祖鳥より

原始的な特徴をもつ新種の鳥化石が発見されたと

2013年5月30日に発表されました。

 

見つかった化石はほぼ全身にわたり、羽毛の跡も見つかりました。

全長は51cm、

中世代ジュラ紀中期から後期(約1億6500~1億5300万年)の標本。

名前は、アウロルニスと名付けられ、名前の由来は「あけぼのの鳥」です。

 

アウロルニスの骨格分析により、始祖鳥より恐竜により近いことが分かりました。

 

恐竜に近い原始的な鳥の発見。

これにより、恐竜か、はたまた鳥類か曖昧な存在であった始祖鳥は

鳥類へ分類される説が有力になりそうです。

 

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崖から見つかった竜脚類の足跡

大変めずらしい足跡化石がモロッコからみつかっています。
それはジュラ紀中期(約1億7000万年前)の崖からみつかった、
前足が横を向いた竜脚類の足跡化石です。

いまのところ世界でもモロッコだけでしか見つかっていない
たいへん珍しい足跡です。

恐竜の足跡化石

崖に足跡があるとは、恐竜が崖を登ったのでしょうか?

違います。
崖の表面は地層の表面。

そう、もともとは平らな地面を恐竜が歩いて足跡をつけたのち、
地層が積み重なって足跡が保存されたのです。
そして長い年月を経て地殻変動により、地層が垂直に立ったのです。

グラレーター(Glallator)の足跡化石

ところで、人間にも歩き方の特徴があるように、
恐竜にも歩き方の特徴があったようです。

二足歩行の恐竜の場合、一般的に草食恐竜は足先を内向きに
肉食恐竜は足先を外向きに歩いたようです。

足跡からは、恐竜たちがケガをしていたことがわかったり、
集団で暮らしたのか単独で暮らしたのか群れで暮らしたのか
ということが判断できたりと、恐竜たちの生態を知る上で、
貴重なデータとなる根拠を示してくれます。

骨の化石からではわからないことが足跡化石によって発見されています。