カテゴリー
アンモナイト 中生代

遊色アンモナイトはどうして光る?

アンモナイト中で光るアンモナイトを「遊色アンモナイト」とよびます。
これらはアンモナイト表面にアラゴナイトと呼ばれる層がくっついて化石化しています。
アラゴナイトというのは鉱物の名前で、日本ではあられ石(霰石)ともいいます。

七色に光る遊色アンモナイト

主成分は炭酸カルシウムです。
炭酸カルシウムと聞いて馴染み深いのは、あの黒板に用いるチョークです。
チョークはとても脆く、すぐに削れるでしょう。

炭酸カルシウムは他にも貝殻や鶏の卵の殻、そして石灰岩や大理石の主成分でもあります。
全く同じではないですが、それらと似たような成分で成り立っているのです。
これで光るのですから不思議です。

美しい色に光ります。

アンモナイトが光るには、アラゴナイトという鉱物の層に加えて、
もう一つ「キチン質」とよばれる層が重なりあう必要があります。
「キチン質」というのは、カニやエビなどの甲殻類や、節足動物の
外側の皮と同じような成分でできた層のことです。

アンモナイトの表面では、このキチン質の層とアラゴナイトの層が交互に
重なりあって積み重なっています。

これらの層に光りが当たったとき、異なった層に光がぶつかると、
光のさす方向が変わります。

これを「光の屈折」といいます。

光の屈折でおこる自然現象の例でいうと、虹が一番わかりやすいかもしれません。
突如空に7色のカラーが現れるのも、太陽光と空中の水滴の光の屈折によって
起こる現象です。

カテゴリー
アンモナイト 中生代

イギリス産の虹色アンモナイト

イギリスの代表アンモナイト、カロセラス・ジョンストニ

イギリス産で有名な虹色アンモナイトにカロセラスとフィロセラスがあります。
イギリス虹色アンモナイトを語るうえで、欠かせないのが、時代区分
「ヘッタンジアン」です。

このヘッタジアンに、虹色アンモナイトは現れました。
ヘッタンジアンはジュラ紀の最前期にあたる1億9960万年前から
1億9650万年前の約300万年間の期間です。

ヘッタジアンについてもう少し説明しましょう。
ヘッタジアンに、イングランドのリアス式海外として世界的に有名な
ブルーリアスが生成しました。

ヘッタジアンは、スイスの古生物学者のEugene Renevierによって記載され、
北フランスの街であるHettange-Grandeから名づけられました。

ヘッタジアンといえば、虹色アンモナイトで有名なフィロセラスが
最初に現れた時期としてよく知られています。

寄り添うように化石になったフィロセラス

ヘッタジアンは、イングランドのブルーリアスとの関連性が強く、ブルーリアス
といえば虹色アンモナイトの産地として有名なため、ヘッタジアン=虹色アンモ
ナイトの時代区分という認識が化石コレクターの間では成立しています。

 

平巻きのカロセラスやフィロセラスは、カナダのアルバータ州で採れるアンモライト
ほどには、表面のアラゴナイト層の厚みがなく、宝石としては扱われていません。

ですが、その輝きは強く、アンモライトの光り方とはまた異なるため、
肋の模様を楽しめる美しい標本として世界中のアンモナイトコレクター
にとって人気のある標本です。

カテゴリー
アンモナイト 中生代

アンモライト②

ロッキー山脈が走る北米大陸の内陸部にあたるベアパウ層からなぜ、
海中生物であるアンモナイト(のちにアンモライト)が発見されるのでしょうか?

青や紫色は希少とされるアンモライト(Ammolite)

それは、白亜紀当時、北米大陸には内陸に内海が存在したからです。
西部内陸海道(WesternInteriorSeaway)と名付けられた内海は、
白亜紀中期から後期、海進により、ロッキー山脈を境界にして
大陸を東と西に二分する巨大な海でした。

東をアパラチア(Appalachia)大陸、西をララミディア(Laramidia)大陸と
よんでいます。

その後、隆起によって海岸線が後退して、海の中にあった地面が陸上にあらわれて
きます。

いわゆる海退が起こると、アンモナイトは粘土質のベントナイトという層に堆積して
埋もれることになったわけです。

堆積された環境によって色がさまざまです。

現在では、軟膏や化粧品、猫の砂にも用いられるベントナイトと
よばれる粘土ですが、この粘土質に覆われたのが良かったのです。

アンモライトにとっては、殻の表面のアラレ石(アラゴナイト)を変質される
ことなく保存でき、方解石に変わることなく、鉄やマグネシウムといった鉱物
に置換することができたのです。

カテゴリー
アンモナイト その他 中生代

アンモライト①

白亜紀後期のカンパニアン紀、北アメリカ大陸のベアパウ層とよばれる地層で保存された、
光輝くアンモナイトのことを「アンモライト」と呼びます。

目にも鮮やかなアンモライト標本(ammolite)

アンモナイトが数千万年の時を経て宝石化したものを、人々は特別に「アンモライト」と
名付けたのは、そう昔のことではありません。

古代の世界中の海にアンモナイトは存在すれど、アンモライトと呼べる石は
北米のBeapaw層だけで見つかっているごくかぎられたアンモナイト化石です。

ベアパウ(Beapaw)層は、カナダ西部のアルバータ州とアルバータ州の東側に位置する
サスカチュワン州を経て、さらに南に下ったアメリカのモンタナ州に至る地層です。

光の当てる角度によって次々と色が変化します。

この地層だけに、宝石の輝きをもつアンモライトが眠っています。

カテゴリー
アンモナイト 古生代

アンモナイトの中身~住房③~

アンモナイトが成長する上で欠かせない外套膜(がいとうまく)。
この外套膜という器官はその他にもさまざまな機能を果たしています。

七色に光るマダガスカル産アンモナイト

 

まず、外套膜はアラゴナイト(アラレ石)とよばれる殻を作り出します。
アラゴナイトというのは炭酸カルシウムが主成分からなる鉱物のことで、
真珠の輝きのような七色を作り出します。
産地や周りの鉱物の置換状況にもよりますが、
七色に美しく輝くアンモナイトが存在するのはこの外套膜のおかげです。

また、外套膜の中には外套腔という筋肉質の器官があり、そこには足の一部が
変化した漏斗(ろうと)という器官が体の外側にむけて通っています。

漏斗といえば、理科の実験でろ過をするときにろ紙と一緒に使う
ラッパ状の実験器具を思い出すかもしれません。
アンモナイトもちょうどあの管のように、筒状になっており、水の管が通っています。

漏斗から体内の水を出したり海水を入れたりしてジェット噴射をしていました。
これによって、海の中を自由自在に泳ぎ回っていたのです。

カテゴリー
アンモナイト 古生代

アンモナイトの中身~住房②~

みなさん、軟体部が成長して貝殻のサイズが合わなくなると、
アンモナイトはどうしたと思いますか?
ヤドカリのように、より大きくて住み心地のよさそうな貝殻を見つけて引越ししていたのでしょうか?

モロッコ産40cm巨大ゴニアタイト

実は、アンモナイトは軟体部の体の成長に合わせて、殻を付け足して大きくなっていきました。
ではどうやって殻を付け足すのでしょう?

アンモナイトは自らの体の中に殻を大きくする器官をもっていました。
その器官を外套膜(がいとうまく)といいます。
「外套(がいとう)」といえば、防寒などのため、一番外側に着るコートを意味する言葉です。

外套膜とは、軟体動物の体の表面をおおう膜のことで、
軟体部の入る殻の部分のすぐ下にある器官のことです。
ちょうど、寒さから身を守るコートのように、アンモナイトは
軟体部にある内臓等をコートのように覆って守っていたというわけです。

外套膜は柔らかな肉質でできていて、ここからアンモナイトの殻となる
成分を出して殻を継ぎ足していました。
主には炭酸カルシウムなどの石灰分を分泌していたようです。

カテゴリー
アンモナイト 中生代 古生代

アンモナイトの中身~住房①~

アンモナイトの殻は住房と気房に分かれます。
ここでは住房について詳しく見ていきましょう。

アンモナイトの構造

住房はアンモナイトの軟体部分を収納していた場所で、殻において大きな部分を占めています。
軟体部分には胃や消化管、肛門、神経節や触手など、
アンモナイトが生きるのに必要な器官がそろっています。

残念ながら、アンモナイトの軟体部分は保存されにくく
見つかっていないので、その全容は分かっていません。
でも、住房部分を詳しく見ていくと、軟体部の想像ができ、殻の役割も見えてきます。

まず、住房はとても硬い殻でできていますから、軟体部が傷つかないように守ってくれます。
また、敵に襲われそうになったり、威嚇されたとき、軟体部は住房の中に
ひょこっと引っ込めることができたようです。
住房を隠れ蓑としても利用していたというわけです。

カテゴリー
アンモナイト 中生代 古生代

アンモナイトの構造

アンモナイトは貝殻の中に軟体動物が収まっている生き物です。
今はもう絶滅していて見られませんが、デボン紀から
恐竜が絶滅する時期の白亜紀までは世界中の海で見られました。

光るアンモナイトイギリス産カロセラス・ジョンストニ

ちょうど見た目は陸に住む巻貝「カタツムリ」に似ていますが、
実際は頭足類で、イカやタコの遠い親戚です。

アンモナイトの貝殻は、2つの部分から成り立っています。
一つは住房といって、「住む」という字が入っているように、アンモナイトの軟体部分が収まる部分です。
もう一つは気房といって、軟体部分は収まっていない部分です。

殻の巻き終わりで太い箇所が住房、殻の巻き始めで中心部分(ヘソ部分ともいいます)から巻き途中までが気房です。