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恐竜の分類からみたテリジノサウルスの不思議②

②分類されにくい恐竜

テリジノサウルスに謎が多いのは、爪や食性だけではありません。分類においてもそうです。

テリジノサウルスの体型は、長い首と腕、そして異様な長さの爪、太い胴体に特徴づけられます。分類は『竜盤(りゅうばん)目』に属しています。あの恐竜キング、ティラノサウルスと体格は似ているといったら言い過ぎでしょうか。テリジノサウルスは分類上、竜盤類です。しかし、体の一部は鳥盤類に似た特徴をもっているという、不思議な生き物です。

ティラノサウルス(化石セブンオリジナルCG)
ティラノサウルス(化石セブンオリジナルCG)

さて、恐竜の分類については、大きく分けて鳥盤類(ちょうばんるい)と竜盤類(りゅうばんるい)があります。鳥盤類で代表的なのは、ステゴサウルス、トリケラトプスなど。竜盤類で代表的なのは、ブラキオサウルス、ティラノサウルスなど。前者は植物食で、後者は植物食と肉食両方存在します。

ケントロサウルスも鳥盤類
ケントロサウルスも鳥盤類

鳥盤類と竜盤類という分類は、『盤』という言葉からも想像できるように、恐竜の骨盤の形によってカテゴライズしたものです。鳥盤類は、骨盤のつくりが鳥の形に似ていることから名づけられています。そして、竜盤類は、骨盤のつくりがワニやトカゲに似ていることから名づけられています。

竜盤類はワニに骨盤のつくりが似ている。
竜盤類はワニに骨盤のつくりが似ている。

骨盤を形成する、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ)、恥骨(ちこつ)のうち、恥骨が後ろに伸びて向いているのが鳥盤類、恥骨が前に伸びて向いているのが竜盤類です。

鳥盤類の場合、草食性の恐竜ばかりですので、恥骨が後ろ側(しっぽ側)にむいているほうが都合がいいようです。というのも植物食の場合、大量の植物を消化したいので、長い腸が必要です。恥骨がお腹側にないことで、長い腸を無理なく収められたのではないか、というのです。

さて、テリジノサウルスは、竜盤類であるので、通常なら恥骨が前に向くはずにもかかわらず、後ろを向いていて、この部分においては鳥盤類の特徴をもっています。

さらに、骨に温血動物がもつ特有の構造をもっているなど、鳥類や哺乳類に近い性質もあるようで、謎はますます深まるばかりです。

見た目も不思議、体のつくりも不思議、食性も不思議。これだけインパクトのある恐竜もなかなか珍しいですね。モンゴルゴビ砂漠での巨大営巣地発見を機に、テリジノサウルス類のさらなる生態の解明が期待されます。

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恐竜の分類からみたテリジノサウルスの不思議①  

2013年11月3日、モンゴルゴビ砂漠で肉食恐竜の世界最大級の営巣地が発見されたというニュースが大きく報道されました。『営巣地(えいそうち)』という言葉、あまり聞きなれないですね。営巣地は、鳥が巣作りをする場所や区域をさす言葉です。

今回については、獣脚恐竜テリジノサウルス類のものと推測されています。この営巣地、驚きの大きさで、幅は22メートル、長さは52メートルというすごさです。この区域に巣は18カ所も見つかったようで、卵も3~8個もあったとのこと。

テリジノサウルスの体形の不思議とその魅力について、①と②にわけてお話ししたいと思います。

①はじめはカメに間違えられた!?

テリジノサウルスの種小名はcheloniformis というのですが、これは「カメのような姿の」と言う意味に由来します。はじめに発見された化石が、巨大なウミガメに似ていてカメのような姿に復元されたということです。恐竜化石がカメらしき姿に復元されたという逸話。これは、テリジノサウルスがもつ、異様で巨大なかぎづめがもたらしたものといえるでしょう。

まさかのカメに間違えられた!?
まさかのカメに間違えられた!?

テリジノサウルスは8~12mの全長に比較して、爪の長さが約70cmあります。腕の長さをいれるとおよそ2メートル。どう考えてもアンバランスな体型をしています。

はじめてテリジノサウルスのイラストを見たときは、そのユニークな体格に、驚かれた方も多いのでは。まだの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

この巨大なかぎ爪は、未だ用途ははっきりわかっていないようです。爪の役割について、今のところ考えられているのは①獲物を切り裂いたり、自らの身を守った ②木の根を掘ったり葉を切ったりした ③地中を掘り起こして昆虫を食べた などがあります。

テリジノサウルスが植物性か肉食性か、はたまた魚食性か、未だはっきりとは分かっていないようです。歯やアゴの化石からすると、草食恐竜の特徴を持っているので、植物を食べるのに適している形とのことですが、直接的な証拠は今のところないようです。

続きは②へ。

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時速80キロで走る恐竜とは?

恐竜はさまざまな種があり、特徴がありますが、みなさんの中で憧れの恐竜、人気の恐竜はどんな種でしょうか?体が異様に大きい、力が強い、見た目が派手・・・。いろんな観点から好きな恐竜は分かれるようです。

スピノサウルス、ティラノサウルス、ステゴサウルス、タルボサウルス、ブラキオサウルス、デイノニクス・・・。有名どころは他にもたくさん挙げられますが、意外に知られていない恐竜で、実はスゴい恐竜をご紹介します。

人気恐竜ティラノサウルスとスピノサウルス
人気恐竜ティラノサウルスとスピノサウルス

その名も、『オルニトミムス』。オルニトミムスは、最速恐竜として知られています。ダチョウに体格をしていて、ダチョウ恐竜とも言われています。学名の意味は『鳥(ornith)に似たもの(mimus)』。白亜紀の北アメリカ大陸に生息していました。

とにかく異様なほど長く細い足を有していて、尾も長い。全速力で走ったときの時速は、60-80キロにも達したという研究者もいます。

オルニトミムス
オルニトミムス

よく考えたら、すごい速度です。現代の高速道路を、彼らオルニトミムスが車と併走していても、何ら違和感がない、ということですね。

ちなみに現生動物で地上最速といわれているチーターは、最高速度は時速100キロ以上ともいわれています。ただ、最高速度を維持できる距離は400メートルくらいとのことで、まさに『瞬発系走り屋』といった感じ。

チーターは走り始めて2秒後に時速72キロまで加速できるそうですから、いずれにしてもこの生き物も化け物級であることは間違いありません。

一つ、面白いのは、チーターは大きくても体長140cm前後、体重65キロ前後なのに対し、オルニトミムスは体長3mあるということです。(体重は未定ですが、相当な重さでしょう・・・。)体が大きいのに足が速い。う~ん、ここがすごいと思いませんか。

好きな恐竜は?と聞かれて、『オルニトミムス』と答える人は、なかなかのツウかもしれません!?

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その他 隕石(いんせき)

生命に必要な液体の水とハビタブル・ゾーン

液体の水が存在するか否かは、生命が存在するという点で非常に重要な条件になるようで、少なくとも、地球の生命にとっては液体の水があることが大事です。水は液体の状態でいられる温度、要は個体から気体になるまでの間の温度の幅が広い物質です。

温度の幅が広いということは、さまざまな環境下でも生きられる可能性があるということですね。すぐに蒸発したり固体になると、生命活動していく上で困るわけですから、水は生命活動の条件が幅広い、お役立ち物質であるようです。

白亜紀海の化け物!モササウルス
白亜紀海の化け物!モササウルス

また、生命の体を作る元となる細胞の細胞膜は、水分を必要としています。

さて、水分は安定的にあるということが生命存在条件として大事だと仮定して『液体の水が存在する惑星が地球以外にもあるのか?』という点について、考えてみたいと思います。

我々の住む地球を含む太陽系では、地球以外に液体の水が存在しうるところがあるのでしょうか。ここで、「ハビタブル・ゾーン(habitable zone)」という言葉がでてきます。ハビタブル・ゾーンは『生命生存可能領域』といいますが、耳にしたことがあるでしょうか。

隕石について知りたい方はこちら!
隕石について知りたい方はこちら!

ハビタブル・ゾ-ンは、宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境とされる、天文学上の領域をさしています。太陽系のハビタブル・ゾーンは、金星のやや内側から火星のやや外側まで、と考えられてきたようですが、最近では火星より外側も範囲に入ってきたようです。

近年、火星に探査機が入り調査が頻繁に行われているのも、火星がハビタブルゾーンに入っていて、生命存在が見込まれるかもしれない、と考えられてのことです。