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三葉虫は弱い生き物!?②

デボン紀のトゲトゲ三葉虫コムラバルチンキ(Comura Bultyncki)

種によりますが、例えば体や眼にトゲをたくさん生やして武装した三葉虫がいます。
他にもちょうどかたつむりのような形をした、長く伸びた眼をもった三葉虫がいます。
海の底の泥に体を潜めながら眼だけ飛び出させて敵を観察できる
潜望鏡のような機能をもっているというわけです。

このように、簡単に襲われないようにするため、三葉虫は体にあらゆる工夫を施しています。
最も代表的なのは「エンロール」といって、ダンゴムシのように丸まって体を守る防御体制です。
背側は硬い殻で覆われている三葉虫ですが、その背側を外側に体をぐるっと丸めることで、
内蔵などの柔らかい内側部分が攻撃されないよう守っていました。

捕食されるという、立場の弱い生き物だったからこそ、三葉虫はその体に
工夫をこらしながら進化し、多様化して大グループを形成しました。
三葉虫は約3億年もの時間を、賢く生き抜いてきた賢者の生き物群とも言えます。

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三葉虫は弱い生き物!?①

実は三葉虫はどちらかと言えば常に弱者の立場であったようです。
どういうことかと言うと、三葉虫は出現した当時から、大型の動物によって襲われていたのです。

デボン紀三葉虫、クロタロセファルス・ギブス(Crotalocephalus gibbus)

三葉虫の出現時期は今からおよそ5億4200万年前、そして絶滅時期はおよそ2億5100万年前です。
彼らは、ざっと計算して3億年ともいう気の遠くなるような時間を生き延びた動物です。
3億年の時間を生き抜いた動物は非常に稀です。

分類レベルが異なるので一概には言えないものの、
恐竜と比べてみても、種として約2倍は長生きしています。
三葉虫はカンブリア爆発に出現し、後に魚類や両生類の出現も見届けています。

常に強い者から捕食の対象にされる立場だった三葉虫ですが、海の進化の環境に適応して、
体にありとあらゆる防御機能を施しながら生き延びてきました。

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三葉虫はどんな生き物?

三葉虫はカンブリア紀からペルム紀の間に生息した古生代を代表する海の生き物です。

複眼とトゲが特徴のドロトプス・アルマータス(Drotops Armartus)

ペルム紀の大量絶滅の時期に、海に住む他の無脊椎動物と同様絶滅してしまいましたが、それまで
節足動物の代表格として、約3億年間もの間、世界中の海にさまざまな種へ進化しながら生息していました。

三葉虫の化石ファンは多く、生物の進化の話をする上でも欠かせない重要な生き物として知られています。
三葉虫はその形が魅力的な生き物として人気です。
そして、とにかく多くの種類がいたと言われています。

その数、実は三葉虫にかなり詳しい研究者でも正確な数は把握できていないそうで、
分かっている限りで数万種といわれています。
数十種ではなく数“万”種です。

これほどの大グループを形成する動物は、化石で見つかった古生物の中では群を抜いています。
まだ解明されてない種が多く、今後、誰がどこで新種を発見するかわからないロマン溢れる生き物です。

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「示相化石」「示準化石」はどう違う?

みなさん、理科の教科書などで「示相化石」「示準化石」という単語を耳にしたことがありませんか?
さて、名前がよく似ていますがこの2つは一体何が違うのか説明できますか?
化石のことに詳しくなるには、ぜひ理解してもらいたい言葉です。

たとえばあなたがある地層を熱心に発掘しているとします。
そこでたとえばサンゴの化石が見つかったとすれば、そこは昔海であった地層だと予想できますね。
しかも、温かい環境だということも。
このように、どんな地層だったのか、当時の環境がわかる化石のことを「示相化石」といいます。

一方、ある特定の化石が、発掘した地層から出てくれば、
その地層の時代が特定できるという化石を「示準化石」といいます。

たとえばあなたが三葉虫を発掘したとします。
三葉虫は古生代という時代区分のカンブリア紀からペルム紀にかけて生息していたので、
少なくとも、あなたが発掘した地層はカンブリア紀からペルム紀だということがわかります。
三葉虫の種がわかれば、もっと時代を狭めて特定できますよね。

このように、示相化石や示準化石は地層を特定するときに役立つというわけです。
示相化石や示準化石になるには、ある程度決まった時代や場所に、
集中して繁栄していなければ参考にならないので、アンモナイトや三葉虫など、
化石としてたくさん種類があるもの、要は有名なものが示相化石か示準化石となるというわけです。