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その他 古生代

腕足類(腕足動物)

腕足類は古生代のカンブリア紀(約5億4500万年前)に出現した海生無脊椎動物です。
デボン紀に繁栄しましたが、古生代末の大量絶滅の影響をうけ多くの種が消えてしまいました。

古生代には約3~4万種いましたが今では約250~350種ほどです。
腕足類の特徴は二枚貝のように2枚の貝をもつ点です。
しかし二枚貝との関係はありません。

見た目は二枚貝に似ていますが全く別の動物なのです。
二枚貝と腕足類の形はじっくり観察すると少し違うことに気付きます。

二枚貝の殻は「右殻」「左殻」、腕足類の殻は「腹殻」「背殻」と呼ばれます。
二枚貝は「右殻」と「左殻」が対になっていて2枚の殻の形は対象ですが、1枚の殻の形は非対称です。
腕足類は1枚の殻の形はほぼ左右対称で、2枚の殻の形は非対称です。

腕足類は骨格で支えられた「触手冠」を持っています。
触手冠は呼吸と餌を採るためにあり、これが名前の由来ともいわれています。

学名の「Brachiopoda」はギリシャ語で腕を意味する「brachium」と
足を意味する「poda」を合わせたものです。

古生代においては腕足類も示準化石として利用されています。(示準化石は
地層の対比や地質時代決定に役立つ化石のことです。標準化石ともいいます。)

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古生代

「筆石」

筆石(Graptolithina)を知っていますか?
学名の『Graptolithina』はギリシャ語で「書くもの」を意味する
『graptos』と「岩」を意味する『lithos』から付けられました。

でも石や岩ではありません。
その名のとおり筆で書いたかのような形をしてはいましたが、動物群の一種なのです。
では何故、「岩」を意味する言葉がつけられたのでしょうか?

それは発見当初、石の一形態として考えられていたためだそうです。
筆石はカンブリア紀中期から石炭紀前期に世界各地の海で生息した半索動物門で、
サンゴの様にひとつの骨格に個虫とよばれる小さな生き物が集まってできた生命体です。
この骨格はコラーゲンでできています。

絶滅するまで多くの種が存在し浮遊生活するものと海底生活するものがいました。
個々の種の存在期間はとても短かったので、地質時代を知るのに使用され
古生代の示準化石として重視されています。

私たち人間を含む脊椎動は、ウニやヒトデなどの棘皮動物から
脊髄の原形をもつホヤなどの脊索動物を経て脊髄動物に進化したと考えられています。

筆石が属する半索動物は、棘皮動物と脊索動物のそれぞれの共通点をもっていて
両者をつなぐ存在として注目されているのです。

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中生代 古生代

生きた化石「シーラカンス」

シーラカンスは古生代デボン紀に出現し、今から約6500年前(中生代白亜紀末)
に恐竜とともに絶命した古代魚と思われていました。

スピノサウルスに食べられるシーラカンス

しかし、1938年南アフリカで「ラティメリア」(シーラカンス)という現種が発見されると、
その後コモロ諸島周辺で数百〜数千匹がみつかり、1997年にはインドネシアで
別種の「ラティメリア」(インドネシア・シーラカンス)が発見されました。

この2種のシーラカンスは黒に近い濃紺色でインドネシア・シーラカンスが
茶褐色と外見の色は異なりますが大きな違いはありません。

両種とも今では深海に生息していますが、古生代、中生代の頃は
浅瀬の淡水に生息していたといわれています。

シーラカンスの体形や体長は様々なものがあります。
現生種の個体から確認できたことは、他の魚と違い鰾(サメやエイなど
硬骨魚が持つ気体の詰まった袋状の器官)に空気ではなく、海水より
密度の軽い脂肪を蓄えて浮力を得ていたことです。

また、体内に大きくなった卵をもっていたことから「卵胎生」という方法で繁殖することもわかりました。

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人物・植物 古生代

生きた化石「イチョウ」

イチョウの葉
イチョウは裸子植物の一種で「生きている化石」の代表とされています。
現在のイチョウの祖先はペルム期前期(約2.7億年前)に現れた「トリコピティス」です。

トリコピティスは現生のような短枝はなく二またに分かれた葉脈だけの歯でした。
中生代には様々な種類のものが出現し世界中に分布して繁栄しました。

この時代のイチョウのひとつに「バイエラ」があります。
バイエラは現在のものに似ていますが、葉は細かく二またに切れ込んでいました。

中生代末までに多くの恐竜とともにイチョウも滅んでいきました。
北米では1000万年前、ヨーロッパでは200万年前、
日本では100万年前に絶滅したといわれています。
そんな中で唯一滅びず中国で生き残ったのが「ギンゴ」です。

現在、みられるイチョウはこのキンゴで、日本にはその昔
中国から仏教の伝来に伴って移入されたと考えられています。
また一度は絶滅した北米やヨーロッパなどでも人為的な移植により今は見ることができます。

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人物・植物 古生代

珪化木と石炭の違い

珪化木と石炭の違いは何でしょう?

珪化木(Petrified wood )

どちらも植物化石なのですが、用途と最終形態があまりに異なります。
シンプルに言うと、木の細胞の中に主にケイ素が満たされたら珪化木、
主に炭素が満たされたら石炭ということになります。

厄介なのは、半々くらいで化石化した半人前もいるということです。
要は、石炭になりそうだったのに、ケイ素も多く、結晶化が進んでカチカチに硬くなってしまった…。
そんな植物化石が多く存在するということです。

石炭を発掘する現場で、珪化木が相当数見つかるのはよくあることのようで、
珪化木は硬いことから発掘のさまたげになり、炭鉱者を悩ます原因になっているようです。

そのような理由から、珪化木のことを、「石炭に成り損ねた木」なんて呼ばれることもあります。
珪化木からすると、何ともショックなネーミングです。
産業的価値からすると、石炭のほうが優位なのかもしれませんが。

炭鉱所の傍らには、鑑賞用には適さず、石炭になることも許されなかった
珪化木のかけらたちが積まれている現実もあるようです。

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人物・植物 古生代

鑑賞用の珪化木は選ばれし者

化石市場に出ている珪化木は色彩が美しい、年輪が確認できるなど、素晴らしいものばかりです。

鑑賞用の珪化木標本(結晶化した石英により色が変化)

産出される全ての珪化木が鑑賞用になればいいのですが、なかなかそうはいきません。

珪化木の中には、保存されたまわりの地質環境などによって、年輪が確認できないものや、
結晶化が進んでおらず色彩のバリエーションが貧弱である、などといった理由から
市場に出ないものが多いのが現実です。

ですから、市場に出て鑑賞用となった珪化木は、かなりのセレクションを
経て存在している、選ばれし者たちともいえます。

「石炭になり損ねた木」なんて言わないで!と、彼らはささやいているかもしれません。
珪化木は世界各地で発見されており、ここ日本でも見られます。
有名な産地は主に、ブラジルやアメリカ、マダガスカルといったところです。

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珪化木と石炭

美しい珪化木は化石コレクターなどに鑑賞用として高い需要があります。

木肌が見える珪化木(Silicified wood またはPetrified wood )

一方、石炭産業の視点からすれば、珪化木をほんの少し邪魔者扱いする声もあるのです。
それはなぜか?

答えは石炭発掘の関係があります。
化石燃料である石炭は、人類が発展していく上で欠かせない物質です。
現在でも世界中のあちこちで発掘され、燃料として使われていますね。

石炭は、主に3億6700万年前から2億8900万年前、大森林が広がっていた
石炭紀といわれる時代(古生代ペルム紀とデボン紀の間の時代)に、
たくさんの植物が腐ることなく地中に埋もれて、最終的に石炭化した物質です。

よく考えると、石炭もりっぱな植物化石なのです。
でも、人類は燃料として使ってきたわけですから、石炭を「化石」として
珍重するといった認識はありません。
鑑賞していても、あまりきれいではないですしね…。

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人物・植物 古生代

パワーストーンとしても人気の珪化木

珪化木は、古代の木が二酸化ケイ素という物質に置き換わって結晶化し、化石となったものです。

表面がポリッシュされた美しい珪化木

二酸化ケイ素は結晶化すると「石英(せきえい)」という物質に変わります。
石英は六角形の形をした白い色の結晶を形作りますが、白色だけでなく、
黒や紫、時には黄色といった色も出てくるのが特徴です。

石英の黄色や黒色も鑑賞できる珪化木特に、石英の中でも無色透明なものは
「水晶」と名前がつき、パワーストーンとして大変人気があります。

石英は4月の誕生石でもあり、「神秘、完璧、冷静」といった意味をもっています。
細胞が、美しく神秘的な物質で満たされた木が「珪化木」とも言えます。

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人物・植物 古生代

木の化石「珪化木(けいかぼく」

珪化木は、植物が石化した一形態を指しています。
珪化木の「珪」は、ケイ酸の「珪」。ケイ酸(SiO2)とはケイ素と酸素、
そして水素の化合物の総称です。

ブラジル産ペルム紀の珪化木

ケイ酸は土の成分の60~80%を占める成分なのですが、
あまり名前になじみがないかもしれません。
ですがケイ酸は、地球上のあらゆる生物の細胞に入っている物質です。
それは人間も然りです。

さて、珪化木はどうやってできるかご存知でしょうか?
答えは次の通りです。

古代に生えていた木が、火山や天変地異、その他さまざまな理由で土砂に埋もれたとします。
そして地層から圧縮を受けます。
そこへケイ酸を含んだ地下水が、徐々に木の細胞の中を満たしていくのです。

長い期間を経て、木の中身は、二酸化ケイ素という物質に置き換わっていきます。
二酸化「ケイ」素に変「化」した「木」。だから、珪化木と言う名前なのです。

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あの「ナウシカ」のモデルになった!?石炭紀の魅力

宮崎駿映画「風の谷のナウシカ」に大きなトンボのような昆虫や
巨大な植物が出てくるのをご存知でしょうか。
じつは、石炭紀には、まさに映画の中に出てくるような不思議な植物や昆虫の宝庫でした。

40mもの高さがあった古代植物レピドデンドロン(Lepidodendron)

巨大なサイズは、われわれ現代人を惹きつけて止みません。
大きなトンボみたいな生き物は「メガネウラ」といって、史上最大の昆虫です。
羽に脈をもち、体長が約60センチという、現代では想像しがたい大きさを誇っていました。

また、ゴキブリやナナフシの祖先といわれる「プロトファスマ」という
昆虫は体長が12センチもありました。
ゴキブリがもし12センチもあったら・・・、と背筋がひやっとした方がいるかもしれません。

何もかもが巨大でスケールの大きい世界、不思議な植物があふれる石炭紀は、
地球の歴史にとってとても重要な時代を担ってくれていました。