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恐竜界における父親の子育て(その1)

子育てをする恐竜の中に、父親の恐竜がいることを知っていますか?
トオロドンを例に挙げましょう。

トロオドンは中生代の白亜紀後期に北米に生息した小型獣脚類です。
現生の鳥類は、9割以上の種のオスが卵をあたためたり、餌を子どもたちに与えたりと、
育児に積極的に参加しているようですが、恐竜のなかでも鳥類にちかいとされる
トロオドンにはその傾向があったようです。

現生の鳥類では、親鳥が一度にあたためる卵の総容量(大きさ×数)は、
オスが育児に関わっているかいないかで違うようです。

オスに育児を任せられる場合、メスは卵を産む事に集中できるため
より大きくたくさんの卵を産むことができるとされています。

トロオドンの父親が子育てをしていたと考えられる理由として、
お母さん恐竜が一度にたくさんの卵を孵していたことがあげられます。
その数は約20〜30個と多く、また卵の大きさも親の体に比べては大きなものでした。

全長約9mのマイアサウラとよばれる恐竜の卵のサイズは大体15㎝ほどで、
全長約1.8mのトロオドンの卵が大体14㎝ほどとされています。
この数字からもその大きさが想像できますね。

トオロドンの卵の総容量は、現生の鳥ではダチョウやエミューといった、
オスのみが子育てをする種の卵の総容量に近いようです。
そのため、トロオドンの父親は卵をあたため子育てをしていたと考えられるのです。

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恐竜界における父親の子育て(その2)

卵を抱え温めていたとされるのが父親であるとされるトオロドン。
この推察のもうひとつの理由となる点が「骨髄骨(こつずいこつ)」の有無です。
「骨髄骨」とは足のなかでも大きな骨にあたる、大腿骨(だいたいこつ)の内側にある骨です。

骨髄骨は、鳥類のメスの産卵時期のみに現れる特殊なもので、ここから殻の原料となるカルシウム
やリンが供給されていたようです。(この骨髄骨はティラノサウルスなどにもあったとされています。)

卵を抱き抱えていたトロオドンの恐竜の骨を調べた結果、
産卵時期に特徴的なメスの骨髄骨は発見されませんでした。
骨髄骨がなければオスという可能性が考えられます。
もちろん骨髄骨が発見されなかったといって、卵をあたためていたのが確実に
オス(=父親)であるとはいいきれませんが、父親が育児に関わっていた
可能性を示唆する、新たな発見になったようです。

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子育て恐竜マイアサウラ(その2)

子育て恐竜として名高いマイアサウラ。
彼らの赤ちゃんが巣の中で大事に育てられたと言える理由として、2つあります。

それは巣の中の卵の様子と、赤ちゃんの歯からよみとることができます。

まず、発見された巣の中に、粉々となった卵の殻が発見されたことです。
これは巣の中に長い間いたという証拠になるのです。
もし殻をつきやぶり、生まれてすぐに巣を出ていたら、卵の殻はもっと綺麗な形で残っているはずです。

2つ目に、発見された赤ちゃんの化石が、まだ巣の外へ出ることも
できなかったのに歯が摩耗していたことが挙げられます。

餌を取ることもできないのにどうして歯がすり減るのでしょう?
なぜなら、母親のマイアサウラが運んでくれた餌を巣の中で食べていたからです。

つまり、赤ちゃんの歯のすり減りが確認されたということは、母親恐竜が
運んでくれた餌を食べて巣の中で大きくなった証拠になるというわけです。

マイアサウラの赤ちゃんは、生まれた時の体長が約30㎝で、
生後半年ごろには約1mを超えていたとされています。
我が子のために餌を運ぶ母親と、スクスク育っていく子どもたちの様子が目に浮かびますね。

でも、この子育て説を否定する声もあるのです。
そのひとつに巣の中からシデムシとよばれる化石が発見されているものもあり、
粉々になった卵はこの虫の仕業ではないかということです。

また、卵から孵る前から歯は磨耗していたとされ、餌を与えられてたわけではないという説が
あるのです。(シデムシとは動物の死体を餌とする虫で漢字では埋葬虫と表記されます。)

どちらが本当なのでしょうか?

子育てをしていたとされる恐竜はマイアサウラ以外にもいます。

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子育て恐竜マイアサウラ(その1)

中生代白亜紀後期に北米に生息した「マイアサウラ」を知っていますか?
恐竜の中で初めて本格的に子育てを行ったとされる草食恐竜です。

1979年、アメリカのモンタナ州でマイアサウラの巣と赤ちゃん恐竜の化石が発見されました。
直径約1m、深さ約50㎝の巣はいくつか発見されたそうですが、それぞれの巣は間違えて
踏みつぶしてしまわないように親の体長と同じ距離ほど離れていたようです。

巣の中には植物の化石も発見されているため、植物の発酵による熱を活かして
卵を温めていたのではないかと考えられています。
こうして生まれた恐竜の赤ちゃんは、体長約1m以上に成長するまで巣の中で大事に育てられたようです。

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恐竜の名前の由来~学名に使われる言葉②~

タルボサウルス(Tarbosaurus)

ダイノ・ディノ→恐ろしい(例:ダイノサウルス〜恐竜)
タルボ→警告(例:タルボサウルス〜警告するトカゲ)
ティタン→巨大な(例:アナトティタン〜巨大なアヒル)
ティラノス→暴君(例:ティラノサウルス〜暴君トカゲ、エオティラノス〜夜明けの暴君)
ディ→2つの(例:ディプロドクス〜2つの梁、ディメトロドン〜2つの手段の歯)
トリ→3つの(例:トリケラトプス〜3つの角のある顔、トリコドン〜3つのキリの歯)
ドン→歯(例:イグアノドン〜イグアナの歯、トロオドン〜傷つける歯)

ニクス→爪(例:ディノニクス〜恐ろしい爪、バリオニクス〜重々しい爪)
ノトス→南の(例:ギガノトサウルス〜巨大な南のトカゲ)
ノド→こぶ(例:ノドサウルス〜こぶトカゲ)
パキ→分厚い(例:パキケファロサウルス〜分厚い頭のトカゲ、パキソノサウルス〜分厚い鼻を持つトカゲ)
バリ→重い(例:バリオニクス〜重々しい爪)
プテリクス→翼、鳥、羽(例:アーケオプテリクス〜始祖鳥)
プラ(テオ)→平らな(例:プラテオサウルス〜平らな爬虫類、プラノケファロサウルス〜平らな頭のトカゲ)
ブラキオ→腕(例:ブラキオサウルス〜腕トカゲ)
プロト→最初の、早期の(例:プロケラトプス〜最初の角のある顔)

マイア→(良い)母(例:マイアサウラ〜良い母トカゲ、エオマイア〜夜明けの母)
ミクロ→小さな(例:ミクロラプトル〜小さな略奪者)
ミムス→もどき、模倣者(例:オルニトミムス〜鳥の模倣者、ストルティオミムス〜ダチョウもどき、)
メガ→大きな(例:メガロサウルス〜大きな龍、メガロドン〜大きな歯)
モノ→1つの(例:モノニクス〜1本の爪)
ラプトル→略奪者、泥棒(例:オヴィラプトル〜卵泥棒、バンピラプトル〜小さな略奪者)
レプト→やせた、小さい、取るにたならい(例:レプトケラトプス〜角のあるやせた顔)
ロフォ→とさか(例:クリオロフォサウルス〜氷のトサカを持つトカゲ)

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恐竜の名前の由来~学名に使われる言葉①~

連結したトカゲこと、アンキロサウルス(Ankylosaurus)

アーケオ→古代の、始まりの(例:アーケオプテリクス〜始祖鳥、アーケオティリス〜始まりの窓)
アナト→アヒル(例;アナトティタン〜巨大なアヒル)
アパーティ→騙す、まやかす(例:アパトサウルス〜惑わせ竜)
アンキロ→連結、曲がった(例:アンキロサウルス〜連結したトカゲ)
ヴェロキ→素早い、すばしっこい(例:ヴェロキラプトル〜すばしっこい泥棒)
エイニオ→野牛、水牛(例:エイニオサウルス〜水牛トカゲ)
エオ→夜明けの、暁の(例:エオラプトル〜夜明けの泥棒、エオティラヌス〜夜明けの暴君)
オルニト→鳥(例:オルニトミムス〜鳥の模倣者)
オプス→顔(例:レプトケラトプス〜角のあるやせた顔)

カルカロドントサウルス(Carcharodontsaurus)

カウディア→尻尾(例:カウディプテリクス〜尾にある羽毛)
カスモ→穴(例:カスモサウルス〜穴のあいたトカゲ)
カルカロス→ギザギザの(例:カルカロドントサウルス〜ギザギザの歯のトカゲ)
カンプト→曲がった(例:カンプトサウルス〜曲がったトカゲ)
ギカース→巨人(例:ギガノトサウルス〜巨大な南のトカゲ)
グナトゥス→顎(例:キノグナトゥス〜犬の顎)
ケファロ→頭(パキケファロサウルス〜分厚い頭のトカゲ)
ケラトス→角(例:ケラトサウルス〜角をもつトカゲ)
コンプソ→かわいい、上品な(例:コンプソグナトゥス〜かわいい顎)

スピノサウルス(Spinosaurus)

サウラ→トカゲ“女性的意味”(例:マイアサウラ〜良い母トカゲ)
サウルス→トカゲ(例:ダイノサウルス〜恐竜、ティラノサウルス〜暴君トカゲ)
ステゴ→屋根(例:ステゴサウルス〜屋根をもつトカゲ)
スーパー→特大、優れた(例:スーパーサウルス〜特大の竜)
スピノ→棘(例:スピノサウルス〜棘のあるトカゲ)
スピス→甲羅
セイスモ→地震(例:セイスモサウルス〜地震トカゲ)

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カンブリア紀の腕足類

カンブリア紀に出現した腕足類は、当時から「リンギュラ亜門」「クラニア亜門」「リンコネラ亜門」
の3つの種類の存在がありました。(詳しくは「腕足類の分類」のコラムを参照。)

カンブリア紀にはリンギュラとクラニアが多かったようですが、
それ以降はリンコネラが優位を占めていたようです。

そのリンコネラに、まるで土から植物の芽がでてきた瞬間のような形のものがいます。
それが現在もオーストラリアと南極の海の水深約12〜600mに生息する「マゲラニア」です。
約3㎝の頑丈な肉茎で硬い底質に固着し、その肉茎は茎として働き、
腕足類を底質から持ち上げています。
化石として保存されることはほとんどないようです。

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腕足類の分類

腕足類は伝統的には2つの種類に分けられます。

2枚の殻が蝶番によって繋がっているのが有関節類(網)です。
蝶番がなく筋肉によって繋がっているのが無関節類(網)です。

オルドビス紀の腕足類

また3つの亜門にもわけられます。
亜門とは生物分類額上、必要な場合に門と網の間に設けられる単位です。
腕足類は「腕足動物門」に属すので、腕足動物門>○○○亜門>有関節網のように分類していきます。

腕足類は多くの種で外見が似ていてるのですが、内部構成が異なるため
このような分類単位が出来たようです。

3つの亜門の分類をくわしくみていきましょう。

1つめは「リンギュラ亜門」です。
腕足類で唯一食用とされているシャミセンガイがこれにあたります。
チキン質性のリン酸カルシウムの殻をもち、無関接網のほうに分類されます。

2つめは「クラニア亜門」です。
リンギュラ亜門と同じ無関接網に分類されますが、殻は炭酸カルシウムを主成分とします。
腕足類は海底に付着するための肉茎をもつのですが、クラニア亜門は肉茎がありません。

3つめは「リンコネラ亜門」です。
殻の主成分は炭酸カルシウムで、有関接網に分類されると考えられています。
スピリファーがこれにあたりますが、他にも様々な化石が見つかっています。

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ゾルンフォーフェン化石(その3)

サンゴ礁のラグーンに積み重なって出来たものが石版石炭岩です。
ドイツ語で板状石炭岩を意味する”Plattenkalk”と呼ばれていて、
この言葉にはこの層が横に連続するという意味も含まれています。

実際に石版石炭岩は周辺の町にも広がっているのです。
「白ジュラ」と呼ばれる層は、クリーム色をした石版石炭岩です。
その特徴は、板状に一枚一枚はがせることです。

ゾルンフォーフェンで発見されたアンモナイト

そのため、化石はレリーフ(浮き彫り)のようにクッキリと痕跡が残ります。
この特徴と特殊な環境によってとても素晴らしい化石が採掘されるのです。

また、ジュラ紀のラガシュテッテンには有名なホルツマーデン頁岩や
モリソン層があります。(※ホルツマーデン頁岩はドイツ南部、
モリソン層はアメリカのコロラド州を中心に広がっています。)

ゾルンフォーフェンにはこの二つの層にない特徴があります。
それが、陸と海の動植物といった全体の化石が発見されていることです。

ゾルンフォーフェンでは今日まで約600種以上の化石が発見されています。
最初は、建築材料として石炭岩を採掘している際にみつけた始祖鳥の発見でした。

始祖鳥ことアーケオプテリクス(Archaeopteryx)

本当はもっと前から化石の採掘がなされていたのかもしれません。
でも偶然の大きな発見が人々に夢と希望をあたえたのでしょう。
また抜群の保存状態の化石たちに採掘意欲がかきたてられるのでしょう。

始祖鳥以外にも、アンモナイトにトンボやエビなど
どれも立派で目を引く化石次々に発見されています。

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ゾルンフォーフェン化石(その2)

ラガシュテッテンとして世界有数の化石産地ゾルンフォーフェン。
どうやってこの素晴らしい場所はできたのでしょうか?

ゾルンフォーフェン産アンモナイト

ゾルンフォーフェンは中世代ジュラ紀後期(約1億5000年前)の地層になります。
当時この辺りはサンゴ礁に囲まれたラグーンがありました。
ラグーンとは、浅い海が広がり干潟がある地形をさしています。

ラグーンでは、とても細かな石炭質の粒子が静かに
ゆっくりと積み重なっていきます。
このラグーンの底は塩分濃度が高く酸素が少なかった為、
生物にとってはとても厳しい環境でした。

素晴らしい環境により保存されたアンモナイト

そのため、ここには塩分濃度が高い環境を好むシアノバクテリア以外が
生息することはできませんでした。(シアノバクテリアは生物進化の
歴史の中で初めて酸素発生型光合成を行った生物です。)

こうした環境のおかげで腐敗の原因となる細菌が少なくすみました。
そして、陸地にも近かったラグーンに、動植物が入っていき、
何億年とたって綺麗な化石として現れたのです。