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ティラノサウルス 恐竜

化石から恐竜の歩き方がわかる

ティラノサウルスなどの恐竜、テタヌラ類の尾は、地面と平行を保っていた
という事実は、今ではどの図鑑にも載っているほど常識とされています。
でもこれは化石の発見と研究によって明らかになった大発見でした。

もし恐竜の尾が地面を引きずる形をとると、体の重心が足の付け根よりも
上になるため、歩幅を狭くして歩かないと前に進めません。
まるで舞妓さんのように、おしとやかにちょちょちょっと歩くのです。

そんなティラノサウルスを想像してみてください。
ちょっと面白いですね。
尾を引きずる形だと前足を大きく一歩出せないので、
スピードも出なければ、獲物に追いつけそうもありません。

ダイナミックな狩りを可能にするには、足を一歩前に大きく出す必要があります。
でもこの動きをすると、体を保つためのバランスがくずれやすくなるという問題が出てきます。

尾でバランスをとるカルカロドントサウルス

体のバランスを保ちつつ大きな一歩を出すためには、尾が重要になったのです。
長い尾を振りながら頭部との揺れ具合を調整すれば、体全体はバランスが保てます。
頭と尾が地面に対して平行の歩き方だと、体の重心は前方向に傾きます。

体が前に傾くと、自ずと前へ歩みを進める一歩が大きくなるのです。
尾はまっすぐにしてバランスを微妙にとっていますから、
あまりぶれることなく、安定した歩きが実現できたという訳です。

これも貴重な化石がある程度の個数発見されたことと、
研究者たちのたゆまぬ研究心、そして科学技術の進歩のおかげで分かったことです。

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中生代 恐竜

恐竜と怪獣の尾についての話②

恐竜と怪獣の体型を比べると、尾の描き方の違いがポイントになってきます。
スピノサウルス、メガロサウルス、アロサウルスや、ティラノサウルスなどの恐竜は
地面と平行で「ピン!」とした尾を持つ恐竜です。

最大肉食恐竜スピノサウルス(Spinosaurus)

そもそもなぜ恐竜はこんなピンとした長い尾を持っていたのかというと、
大きな巨体をバランスをとって歩くためだと言われています。
現生の動物で恐竜のような尾の形は見かけません。

だから、たった数十年前までの恐竜復元図は、現生のトカゲのように長い尻尾は
だらんと垂れた形で描かれていました。
いわゆる「怪獣」の体つきのような感じで、ティラノサウルスなどが描かれていたのです。

もちろん歩くときは、人間のように体をまっすぐにして、
尾で体の体重を支えながら歩いていたとされていました。
今の常識と照らし合わせる何だか面白いですね。

でも、日々の研究が進んだからこそこの姿は少しおかしい…、ということになったのです。

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その他

生痕化石って何?

恐竜のウンチが化石になったように、生物そのものの化石でなく、その生物が活動した痕跡が
わかるような化石のことを生痕化石(せいこんかせき)といいます。
生痕化石は他にもいろいろあります。 

アロサウルスの足跡化石(Allosaurus)
コエロフィシスのウンチ化石

 例えば、恐竜などが歩いた跡がわかる足跡化石や、海底の泥を這った跡がわかる
三葉虫などの這跡化石といったもの、巣穴の跡なども生跡化石となります。
珍しいですが、生物そのものの化石と生跡化石が同時に見られるケースもあります。

たとえば、草食恐竜トリケラトプスがいるとします。トリケラトプスが化石として見つかったとして、
もしその背中にティラノサウルスによって負った傷があったとすれば、それはトリケラトプスの化石である
と共に、その捕食者ティラノサウルスが生きていたという証の化石、すなわち生跡化石であるともいえます。

他には、シアノバクテリアという細菌が酸素を作る過程で作られた
「ストロマトライト」という岩石も生痕化石に入ります。

縞模様が特徴のストロマトライト(Stromatolite)
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ティラノサウルス 中生代 恐竜

ティラノサウルスのウンチは何cm!?

ティラノサウルスはうんちも大きい!

恐竜のウンチが化石になったものはとても珍しく人気があります。
恐竜のウンチはその恐竜のサイズによってまちまちですが、大きなものもあるのです。

 

中でもティラノサウルスのウンチは、大きいもので何と長さが44cmもあります。
ウンチの中には、同時期の白亜紀に生きたトリケラトプスや
エドモントサウルスなどの骨が入っていたものが見つかっています。

ティラノサウルスのアゴは頑強で、恐ろしいことに骨まで噛み砕いて
食べてしまったのだろうと言われています。ち
なみに、ウンチは今でも臭うのでしょうか?答えはNoで、もちろん無臭です。

ウンチは中を割ると、さまざまな鉱物に置換されていて実は大変綺麗なんです。
インテリアとしてウンチを飾っている人も少なくありません。

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中生代 恐竜

恐竜が何を食べていたかはどうして分かる?

すでに絶滅している恐竜が、何を食べていたかということが、現在どうしてわかるのでしょう?
研究者は恐竜の食べ物を探るとき、恐竜のウンチと胃、そして歯の形に着目しています。

恐竜のうんち化石ことコプロライト(coprolite)

え?恐竜のウンチなんて残っているの?と思われる方もいるかもしれません。
じつは恐竜のウンチは珍しいものですが化石としてしっかり存在しています。

恐竜のウンチは「コプロライト(coprolite)」といいます。
この言葉はギリシャ語からきています。
ギリシャ語で【kopros】は糞や肥料という意味です。

大型恐竜ほど大きなウンチをしますから、比較的化石として残りやすいようです。

見つかった恐竜のウンチがどの恐竜のものだったかがわかりさえすれば、
その恐竜が何を食べたかわかるのです。
あとは、胃の中に残った食べ物から推測したり、歯の形状から植物を食べていたのか、
動物を食べていたのか、あるいは雑食性だったかなどがわかります。

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その他 中生代

消化の助け以外に胃石を飲む生き物がいる

古代ワニサルコスクス(Sarcosuchus imperator)

実は、石を飲み込む動物は現生の生き物にもいます。
代表的なのがワニです。
ワニは水の中にいますよね。

石を飲み込むことで自由に浮かんだり水の中に潜ったりする際の助けとなっているのです。
要は浮力を調整するために石を飲んでいたというわけです。

海のはちゅう類こと、水中に暮らすプレシオサウルスなどの
首長竜のお腹からも石が発見されることがあります。
これはワニと同じく、体の重心の位置を決めて浮いたり沈んだりする目的だったと考えられています。

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古生代 恐竜

胃の中に石をもっていた恐竜がいる

草食恐竜の化石の胃からは石が見つかることがあります。
これは、恐竜が間違って飲んだわけでなく、わざと飲み込んだものと考えられています。
どうして硬い石を飲み込むのでしょう?

それは、飲み込んだ石が消化の助けをしてくれるからです。
草食動物は名前の通り硬くて繊維の多い植物を食べていた恐竜です。
彼らはまず頑丈な歯で葉や枝など硬い植物をすりつぶしながら消化を促していました。

それでも足りず、胃の中で胃石を擦れ合わすことにより、細かくして消化していたのです。
ですから、化石として発見された胃の中の石(胃石)は丸く削られている形のものが多かったようです。
見つかっている化石の中では、オルニトミムス類の胃石が有名で、
1体の恐竜のなかに、何と数千個もの小さい胃石が発見されています。

大きさはミリ単位と小さくなっていたのですが、この理由は食べたものや石同士が擦れあって
すり減ったりしたためだと考えられています。

胃石が磨り減ってあまりに小さくなってしまうと、消化を助ける機能が弱くなってしまいます。
そういうときはどういう行動にとったかというと…。

恐竜は使えなくなった胃石を吐き出していたのです。
そして新しい胃石を飲み込、常に最適な状態をキープしていたようです。

ちなみに肉食恐竜から胃石がみつかることはかなり稀です。
植物より紹介しやすい肉を食べていたから、胃石は必要なかったのかもしれません。

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中生代 恐竜

恐竜は全て歯を持っているのか?

草食恐竜トリケラトプスの歯(Triceratops)

実は、すべての恐竜が歯をもっているわけではありません。
例えば、北アメリカ大陸で白亜紀に繁栄したオルニトミムスは歯を持っていませんでした。
彼らは「ダチョウ恐竜」という別名をもっているのですが、
ダチョウのような姿をしていて、とても足がすばしっこい恐竜でした。

彼らの口は細くて、クチバシのような形状をしていたようです。
クチバシは、現在の鳥が持っているものと同様、アゴが突き出て
口の周辺がひと繋がりの硬い角質の板状になったものです。

この硬いクチバシで植物や小動物をついばんでいたのではないかと考えられています。
ティラノサウルスのように歯根(しこん)部分を含めて30cmはあろうかという歯を持っていたり、
歯が全くない恐竜がいたりと、1億6500万年の間に、多種多様な恐竜が存在していたのですね。

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古生代 恐竜

デンタルバッテリーって何?

デンタルバッテリーとは、束のようになってびっしりと並んだ小さな歯のことをいいます。
我々ヒトの歯は、一生に一度しかはえかわりません。
でも、恐竜の歯は歯の生えている骨の内部にいつくもの新しい歯を備えていて、
古くなったら生え変わっていました。

エドモントサウルスやハドロサウルスなどの植物を食べる歯は1つの板状になっていて、
硬い植物で歯がすり減ると、すぐに次の歯が入れ替っていたのです。

デンタルバッテリーとは、歯の集まったものという意味で使われています。
私たちは歯のケアを怠ると、二度と生えてこないので入れ歯をしたり、インプラントをしたり大変です。
恐竜たちがうらやましい限りですね。
恐竜たちは歯磨きをしなくても全く問題なかったというわけです。

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先カンブリア時代 古生代

カンブリア紀の名前の由来~なぜ「カンブリア」という?~

地質時代には大きくわけて、先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代という区分けがあります。
生命の大爆発が起こったとされるカンブリア紀は、約5億4200万年前から約2億5000万年前までの
間の「古生代」といわれる時代の一番はじめの時期にあたる一区分の時代のことをさしています。

約5億4200万年前~5億500万年前の最初の時代がカンブリア紀にあたるのです。
古生代はその後、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀と分類され、
時代は恐竜が栄えた時代、中生代へと移っていきます。

さて、「先カンブリア時代」というのも「カンブリア」という言葉が入っていますね。
先カンブリア時代は、古生代の最初の時代である「カンブリア」紀よりも一つ前「先」の時代だ
という意味で名付けられているのです。

でも「カンブリア」という言葉が使われているためか、先カンブリア時代と
カンブリア紀は、よく間違えそうになる言葉です。
これらの「カンブリア」という名前はどこから来たのでしょう?

それは、ラテン語の部族の名前に由来しています。
この時代の地層が調べられたイギリスのウェールズ地方に、
かつて「キムル」という名前の部族が住んでいました。
キムルをラテン語に訳すと「カンブリア」になるそうで、
彼らの名前にちなみ、カンブリア紀と名付けられたのです。